走る哲学者が半生をかけて考え抜き辿り着いた答えとは?|為末大の熟達論

走る哲学者の熟達論

A running philosopher's theory of maturity.

の記事では、為末大著「熟達論」の要点を整理し、達人への道のりを熟達するための5段階に分けて解説します。それぞれのステップは、達人たちが共通して辿ってきた道のりを体系化したもので、これらを理解することで、自らのスキルアップやスランプからの脱出に役立てることができます

熟達への旅立ち

達とは、単に技術や知識が増えることだけではなく、それを使いこなし、自らのものとして昇華させる過程を指します。この過程を遂行するためには、明確なステップが存在し、各段階を経て達人と呼ばれるレベルに到達することが可能です。これらのステップを知ることで、自己成長の旅路において迷わずに済むでしょう。

達人になるための5つのステップ

5段階の探求していくプロセスは一本道ではなく、段階に分かれている。学習には、多くの矛盾する教えがあります。「基本を憶えろ」に対して「自分で考えろ」、「自分に合ったものを選べ」であったり、「量が大事だ」に対して「質が大事だ」であったりです。これらは決して矛盾しているわけではなく、段階が違うだけなのです。達人になるためには、以下の5つのステップを踏む必要があります。

  1. 遊(ゆう):新しいことを学ぶ際、まずは遊び感覚で取り組むことが重要です。ここでの主体性や探究心が、後のステップでの成長の基盤となります。
  2. 方(ほう)基礎となる技術や方法を身につけ、それを繰り返し練習することで、無意識のうちにも実行できるようになります。
  3. 観(かん):自分だけでなく他者も含め、様々なパフォーマンスを観察し、理解を深めます。これにより、自分自身のスキルや知識の全体像を把握することができるようになります。
  4. 中心(ちゅうしん)自分のスタイルや特徴が確立し、それを核としてさらなる高みを目指します。
  5. 空(くう):最終的には、意識することなく自然体でスキルを発揮できる状態に至ります。これが達人の境地です。

絶望的スランプとその克服

達の道のりでは、必ずしも順調に進むわけではありません。特に、以下のようなスランプに陥りやすい状況があります。

  1. 遊びの段階を飛ばす:遊びを通じて学ぶ楽しさや探究心が欠けると、熱意の維持が難しくなります。
  2. 方の選択ミス:効果的でない方法や技術を深く身につけてしまうと、後で修正するのが困難になります。
  3. 観察が部分的になる:全体像を捉えずに部分的な観察に終始すると、大切なポイントを見逃してしまう可能性があります。

これらのスランプから脱出するには、自分自身を振り返り、必要に応じてステップを見直す勇気が必要です

ビジネスと熟達論

達のプロセスはビジネスの世界にも応用可能ですが、そのためには「達人になること」自体を目的とし、経済的な利益だけを追求するのではなく、自分自身の成長や充実感を大切にする心持ちが重要です。熟達した技術や知識は、それ自体が価値を生み出し、結果としてビジネスの成功にも繋がるでしょう。

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